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RadDiskによる放射性ストロンチウム測定 | 産地判別検査の同位体研究所

RadDiskによる放射性ストロンチウム測定

3M社製 RadDiskによるストロンチウムの回収と測定

手法についての妥当性評価

従来の放射性ストロンチウムの測定においては、イオン交換法などにより放射性ストロンチウムを検体より抽出、精製する工程が必要となります。この方法は、16段階にも及ぶ複雑な化学処理を行うもので、測定完了には、3週間程度が必要でした。 米国3M社が開発した分子認識樹脂を用いたストロンチウムの抽出技術は、放射性ストロンチウム測定において、煩雑な前処理工程を一気に簡素化・迅速化します。ストロンチウムを選択的に補足し、ディスクに保持する事が可能なため、ストロンチウムの回収後、直ちにβ線測定装置にて測定が可能となります。 処理過程においても、基本は、硝酸により検体中のストロンチウムを溶出し、これをディスクにて濾過する事で、ディスク上のストロンチウムが回収されます。 水などの液体の測定の場合には、最短で1日での測定も可能です。 土壌や食品の測定の場合には、酸による抽出を行う為、3−4日程度で測定が完了可能です。 このRadDiskによる放射性ストロンチウムの測定法については、米国エネルギー省に承認されている他、日本では、厚生労働省の緊急時における食品の放射能測定・放射性ストロンチウムの測定において固相抽出法が示されています。
米国3M社が開発した分子認識樹脂を用いたストロンチウム

放射性ストロンチウムの抽出

固相ディスクは、それぞれ個別のパッケージに保存されており、このディスクを抽出用のマニホールド(吸引濾過用の器具)にセットし、抽出液を通過させると、ディスクに放射性ストロンチウムが吸着されます。 水等の液体の場合には、まず硝酸で酸性とした上で、ディスクにストロンチウムを吸着させます。土壌や食品の場合には、硝酸溶液による土壌や食品を酸分解を行い、ストロンチウムを抽出した上で、抽出液をディスクにて濾過してストロンチウムを吸着させます。 ストロンチウムを吸着させた後、不純物を線上除去すれば、直ちに測定が可能となります。 また、この回収されたストロンチウムは、容易にディスクから溶出・回収が可能ですので、ディスクをそのままβ線測定装置で測定できる他、ディスクより溶出させた上で、ICP-MSによる測定も可能です。 このように測定においては、迅速性と柔軟性を有しており、広範囲を対象とした放射性ストロンチウムの測定を行う上では、非常に効率良く測定が可能となります。

ベータ線測定装置・・CANBERRA SERIES5 XLB

放射性セシウム等、多くの核種の測定は、ゲルマニウム半導体検出器を用いたγ線スペクトロメトリーで行います。しかし、放射性ストロンチウムは、ベータ線であるので、この装置では測定はできません。ベータ線の測定には、液体シンチレーション測定装置を用いても可能ですが、高精度で効率よく測定を行う為に、CANBERRA社のシリーズ5XLBという低バックグラウンドα/ β線測定装置を用いています。この装置は、内部に厚さ10cmの鉛遮蔽対があり、周辺からのベータ線を遮蔽し、検体を効率よく連続50検体測定する事が可能です。 3M社製のRadDiskは、直径47mlであり、ストロンチウムの回収後、直接β線測定装置のプレート上において、直ちに測定が可能となります。 測定では、1測定は、60分で行われます。検出限界は、0.01Bqです。ストロンチウムの抽出に例えば10gを用いた場合には、1kg単位に換算する場合、検出限界は、0.01Bq x 100で1Bq程度となります。 水などの液体を1L使用した場合には、0.01Bq/Lでの検出が可能となります
3M社製のRadDisk