はちみつ産地判別検査のよくある質問

何を調べて蜂蜜の産地が判別できるのですか?

「蜂蜜中の元素の重さの違いから、蜜源の花の産地がわかります」

蜂蜜の糖やタンパク質中の炭素・酸素(水素)原子は、蜂蜜の元となる花が生育している地域によって重さ(質量)が異なります。中国は、乾燥した気候であり、植物の生育に必要な水源も日本のように豊かではありません。 一方、日本は、温暖多湿である上、アカシア、トチ、菩提樹など多くの蜂蜜のもととなる花は、山地や東日本・北日本中心に生育しています。この気候の違い、水源の環境の違いから、中国と日本では、蜂蜜の炭素・酸素(水素)の重さの違いが大きくなる為、高精度で産地の判別ができます。

中国に次ぐ、輸入先である東欧(ハンガリー・ルーマニアなど)は、中国ほどの違いはありませんが、やはり日本とは異なる値を示します。

このように、蜂蜜の生産地域別に、蜂蜜の炭素・酸素の重さの違いを利用する事で、産地判別が可能となります。

すべての蜂蜜の種類で検査できるのですか?

「蜂蜜の種類によって、生産地域、採蜜時期が異なります。 このため蜂蜜の種類毎に判別する必要があります。 現在は、アカシア、レンゲ、ミカン、リンゴ、トチ、菩提樹、クローバー、そばといった各種蜂蜜の他、北海道産百花蜂蜜など地域別に採取場所が判明している百花蜜の検査を実施しています」

レンゲやミカンといった花の開花時期は、3月から4月となります。 トチやリンゴは、5月頃、アカシアが5−6月と蜜源の花により採蜜時期や、場所が異なります。レンゲやミカンは、南日本が中心であり、栽培場所も、乾燥した山地や、田んぼです。 一方、トチ、アカシア、リンゴは寒冷地、山地が中心で、クローバーや百花蜜など北海道にて多く生産されるものもあります。 また6−7月の採蜜時期は梅雨の湿潤な時期と重なります。 このように種類別の蜂蜜の安定同位体比は、採蜜場所、時期によっても変動します。 このため蜜の種類別に安定同位体比データベースを分けて管理し、判別に用います。 この他、特殊な蜂蜜についても分析対応できるように、開発を継続しています。 (詳しくは、同位体研究所・分析部にご照会ください。)

どのような地域の蜂蜜を判別できるのですか?

「アカシア蜂蜜の場合は、中国、東ヨーロッパ、日本各地が対象です。 ミカンであればオレンジ蜂蜜が生産される南欧、米国、メキシコなどの地域となり、蜜の種類により対象国が変わります」

冬場に、蜂を越冬させる過程で、餌とし「砂糖」や「異性化糖」を与えるケースがあります。 このような砂糖や異性化糖の残留により、蜂蜜の産地判別が影響を受ける可能性の質問があります。 結論から言いますと、「まったく影響を受けません」 万一、砂糖や異性化糖の残留があった場合、蜂蜜から含有されるタンパク質を抽出し、この安定同位体比を測定する事で、異性化糖の含有が検証できます。 またこのタンパク質の安定同位体比を測定する事で、原産国判別が可能となります。 従って、異性化糖などの残留があったとしても、産地判別検査の過程で、その影響は、排除されます。

(詳細な、安定同位体比変動についての資料が必要な場合、同位体研究所・分析部門にご照会ください)

検査の実績はあるのですか?

「蜂蜜の産地偽装に関連して、警察の鑑定検査、自治体による行政検査などで多数の実績を有します。 蜂蜜メーカーの原料仕入れ時の産地確認検査を2009年から担当。

国産蜂蜜の偽装事件を巡っての警察からの鑑定検査、地方自治体による蜂蜜産地確認の為の行政検査など、数多くの蜂蜜産地判別検査実績を有しています。 2009年から、国内蜂蜜メーカーの原料仕入れに際しての産地表示確認の為の分析検査を提供するなど、蜂蜜産地判別検査は、現在までに数百件の分析実績を有し、国内の蜂蜜産地判別検査のパイオニアです。

精度はどのくらいですか?

「アカシア蜂蜜の国産・輸入判別は、97.8%の的中率。 国産・中国産判別は、99.5%の的中率と非常に高い精度で判別が可能です。(交差確認済)」

国産・東欧産・中国産アカシア蜂蜜データベース(総数400)による産地判別の精度(的中率)は、次の通りです。(交差確認済) 同位体研究所では、受託検査においては、判別的中率が90%以上を確認したものから受託検査を提供しています。

国産・中国産判別: 99.5%

中国・東欧産判別: 93.5%

国産・東欧産判別: 96.5%

国産・輸入(東欧・中国)判別: 97.8%

レンゲ・ミカン 国産・輸入判別: 93.8%

その他の蜜種類別は、同位体研究所・分析部門にご照会ください。

検査に必要な日数はどの程度ですか?

「検体の受領後5営業日です。」

分析検査は、検体の受領後5営業日で完了しますが、分析スケジュールによっては、3日程度で完了する場合もあります。 どうしても急ぐ場合、時間外での分析にも対応しますが、割増料金が必要となります。 詳しくは、業務部にご照会ください。

報告書を急ぎで送付してもらえますか?

「お急ぎの場合、PDFによるメールの報告又はファックス送信も行います」

分析検査結果を急ぎでご必要な場合には、メールにてPDFファイルでの送信、またはファックスでの送信にも対応しています。 詳しくは業務部にご照会ください。

国産として仕入れていた蜂蜜が中国産という報告を受けました。損害請求を考えていますが、分析結果を損害請求根拠として使えますか?

「既に多くの事例があり、対応しています。訴訟資料、鑑定資料に使われる場合は、報告書様式を含め、所定の別様式での発行となりますので、業務部にご相談ください。」

同位体研究所は、さまざまな食品の産地偽装に関連して、多数の警察からの鑑定検査、行政検査を扱っており、総数では500検体以上の実施実績を有しています。蜂蜜の産地偽装に関連した検査については、警察からの鑑定検査・行政による検査実績も豊富です。

民間の産地偽装に関連した検査では、偽装損害賠償の事実根拠としての裁判用鑑定書の作成など、判別の根拠、正当性、検査対象となった検体の抜き取りなど、偽装立証に必要な根拠資料、結果、再現性などに細かく対応できる体制であり、必要な場合、業務部にご相談ください。

ミツバチが、アカシアの蜜を集める際に、他の花から蜜を収集する場合もあるが、検査に影響はないのか?

「影響はありません。 周辺の花はアカシアと同程度の安定同位体比を示します」

ミツバチの行動半径は、約2.5km程度です。 またミツバチは、効率よく集蜜を行う為、花の場所を群れに知らせる行動(ミツバチの8の字ダンス)が知られています。集蜜においては、アカシアの花の位置を適切に設定した場合、他の花の蜜の混入は、ほとんどありません。 またアカシアの開花時期で、同一生育地域であれば、その花の蜜の安定同位体比は、同じ生育水と生育環境でもあり、大きな相違はありません。 従って、アカシアの集蜜において、周辺の他の花の蜜がアカシア蜂蜜の安定同位体比に影響を与え、原産国の判別が異なるという事はありません。 同位体研究所は、2010年アカシアの採蜜時期にアカシアの葉、枝、花弁、そして周辺に開花している様々な花の採集を実施し、その安定同位体比を測定しましたが、大きな相違はなく、周辺の花の影響による原産国の誤判別の可能性はない事を確認しています。

蜜の収集は、南から季節を追って、北まで移動するが、例えば南のレンゲやミカンの蜜がのこって、影響することはないのか?

「仮に10%巣箱に残留して、アカシアの採蜜と混じった場合でも、残留が理由で輸入蜂蜜と判別される事はありません」

レンゲやミカンといった花の開花時期は、3月から4月となります。 アカシアの開花時期は5−6月となりますが、全国を回る採蜜の場合、アカシアの採蜜の前に、東北のトチやリンゴの採蜜が行われます。 トチやリンゴ蜜の安定同位体比は、アカシアに近似している為、これらの蜜による原産国の誤判別は起こりません。 レンゲやミカンは南方の花であり、安定同位体比は、アカシアとは異なります。 しかし、レンゲやミカンの蜜が「仮に」10%、アカシアの採蜜時に混入したとしても、その安定同位体比値は、依然として国産と判別されます。 従って、全国の集蜜において、レンゲ・ミカンが巣箱に残って、アカシアに混入するとアカシア蜂蜜の品質自体が低下します。 アカシア蜂蜜にレンゲ・ミカン蜜を10%混合すると、一般的なアカシア蜜とは明らかに異なる風味・色合いとなります。 従って、安定同位体比の点からも、商品価値の点からも、ミカンやレンゲ蜜が「採蜜の過程で残留して」アカシア蜂蜜の原産国判別に影響する事は、ありません。

冬場に、蜂の餌として砂糖を与えているが、この砂糖やシロップが残って、影響する事はないのか?

「影響はありません。また残留があった場合、検出されます」

冬場に、蜂を越冬させる過程で、餌とし「砂糖」や「異性化糖」を与えるケースがあります。 このような砂糖や異性化糖の残留により、蜂蜜の産地判別が影響を受ける可能性の質問があります。 結論から言いますと、「まったく影響を受けません」 万一、砂糖や異性化糖の残留があった場合、蜂蜜から含有されるタンパク質を抽出し、この安定同位体比を測定する事で、異性化糖の含有が検証できます。 またこのタンパク質の安定同位体比を測定する事で、原産国判別が可能となります。 従って、異性化糖などの残留があったとしても、産地判別検査の過程で、その影響は、排除されます。

(詳細な、安定同位体比変動についての資料が必要な場合、同位体研究所・分析部門にご照会ください)

冬場に、ミツバチの餌として中国産の蜂蜜を与えているが、この中国産蜂蜜の影響で、中国産と判別されることはないのか?

「冬場の蜂の餌に中国産蜂蜜を使っても、その蜂蜜が影響して、国産アカシア蜂蜜が中国産と判別される事はありません」

冬場に、中国産蜂蜜を餌で蜂に与えるので、この中国産蜂蜜が残留して、アカシア蜂蜜の原産国判別に影響するのではという質問がありましたが、中国産蜂蜜の残留により国産アカシア蜂蜜が輸入と判別される事はありません。 仮に採蜜されたアカシア蜂蜜に10%の「冬場に餌として与えた中国産蜂蜜」が残留したとします。 この場合においても、安定同位体比値は、国産アカシア蜂蜜の値の範囲に入ります。 冬場の餌として異性化糖を与えたものが残留したという混入事例がありますが、その混入水準ですら「10%」となれば大事となります。 アカシア蜂蜜として採蜜されたものの内、10%が、冬場に与えられた中国産蜂蜜という事は、非現実的であり、また仮にそのような場合でも、原産国判別が変わる事はありません。

(詳細な、安定同位体比変動についての資料が必要な場合、同位体研究所・分析部門にご照会ください)

採蜜地域が「特殊で、中国と同じ」安定同位体比値を持つかもしれないので、「アカシア蜂蜜」が国産にはない安定同位体比値を示す事はないのか?

「アカシア蜂蜜において、そのような事はありません。 また「ある地域」が「非常に特殊な環境で、中国と同じ安定同位体比値となる」かどうかは、容易に実証できます。

分析検査に対して、「この地域が特殊で、たまたま中国と同じ安定同位体比値となった」可能性もあるのではないか。 自社の蜂蜜採取地域が「中国と異なる」安定同位体比値であると、どのように証明できるというのか? という質問を受ける場合がありますが、この点は、容易に実証が可能です。 2010年同位体研究所は、栃木や秋田、北海道において、アカシアの樹木より葉や枝、花弁の採取を行い、同時に周辺の草木、樹木などの採取。これらの安定同位体比値を測定し、アカシア蜜は、採蜜値のアカシアの安定同位体比値を反映する事を確認しています。 仮に、「自社の採蜜地域が中国と同じ、特殊な安定同位体比を示す」とするのであれば、現地のアカシアより葉、枝を採取し、安定同位体比値の確認ができます。 従って、「特殊なアカシアの生育環境」かどうかは、容易に現地立証が可能です。

「東欧産」と判別されたが、仕入れ元は、東欧産は扱っていない。 どう判断すれば良いのか?

過去の事例では「東欧産」ではなく、国産アカシア蜂蜜に中国産を添加して「水増し」したものが大半でした。 「東欧産」と判別された場合には、「中国産」による水増しの可能性が非常に高い事に注意が必要です。

同位体研究所において、東欧産と判別されたアカシア蜂蜜の半数以上は、国産アカシア蜂蜜に中国産アカシア蜂蜜を混ぜた(水増しした)ものでした。

中国産と国産アカシア蜂蜜の安定同位体比は大きく異なりますが、この二つのアカシア蜂蜜を混ぜると、安定同位体比値は、東欧産の値群に重なります。ただし、安定同位体比値は、中国産と国産を混合した場合、「配合割合」に個々の安定同位体比値を乗じた値の合算となります。 つまり30%中国産を混ぜれば、国産アカシアの炭素・酸素安定同位体比に70%掛けたものと、中国産アカシアの炭素・酸素安定同位体比に30%を掛けたものの和となります。

この点から、東欧産と判別されていても、炭素・酸素安定同位体比の割合から、中国産と国産の混合の可能性が高いものが多数見られます。 分析検査においては、「東欧産」と判別した場合においては、国産・中国産混合の可能性がある事を注記しています。 同位体研究所の検査事例では、国産に中国産アカシアを水増しとして使用する例が大半であり、このような場合、例えば北海道や東北の産地県(地域)からのアカシアであるとして検査すれば、容易に値の異常も分かります。 経済的な利益を狙った「水増し」の場合、中国産の添加料に伴って、本来東北・北海道産のアカシア蜂蜜の安定同位体比は、東欧・中国産の安定同位体比値にスライドしてゆきます。 経済的な利益を考慮すれば30%程度の添加が疑われますが、この水準であれば、東北や北海道のアカシア蜂蜜の値をはずれて、東欧産の値となります。 このため、分析検査においては、「東欧産」という判別が起こる事になります。

東欧産のアカシア蜂蜜の安定同位体比分布は、「国産」と「中国産」の混合による産地偽装を判別する上でも、非常に重要な役割となります。/p>

(詳細な、安定同位体比変動についての資料が必要な場合、同位体研究所・分析部門にご照会ください)

北海道とカナダは気候が似ています。北海道とカナダのクローバー蜂蜜の判別は可能なのですか?

「北海道とカナダのクローバーの蜂蜜では、炭素・酸素安定同位体比では判別が困難ですが、水素安定同位体比に違いがあり、判別が可能です。」

アカシアの場合では、東北・北海道と中国、東欧には、炭素・酸素安定同位体比の違いがあり、この地域別の安定同位体比値を基づいての産地の判別が可能です。 しかし、クローバーの蜂蜜の場合、主要な産地であるカナダと国産・北海道を比較した場合、炭素・酸素安定同位体比値は、近似した値を示します。 このためアカシアのように炭素・酸素安定同位体比による判別では判別が困難です。

このような場合、水素安定同位体比に違いを利用します。 北海道とカナダでは、水素安定同位体比値に判別に十分な相違がある事から、統計解析に水素安定同位体比を加えて判別する事で判別が可能となります。このように冷涼な気候が似通った地域でも、北米大陸というカナダと、北海道という島では、水の安定同位体比にも相違が認められ、これを利用した判別が可能となります。 

欧州では、民間検査機関で既に中国産と欧州産の判別検査が実施されています。

欧州では、蜂蜜の需要が非常に旺盛であり、安定同位体比を用いた「糖添加」判別の開発や、産地判別の研究が従来より実施されてきています。 既に安定同位体比データベースを用いて、欧州産の蜂蜜と外国産(特に中国)蜂蜜の判別検査が民間検査機関により提供されています。 

安定同位体比を用いて、欧州各地の蜂蜜の産地を判別する行政機関の取り組みが行われています。

蜂蜜の産地判別の研究は、イギリス、ドイツ、フランスなどで活発に取り組まれています。蜂蜜のタンパク質を抽出し、このタンパク質の安定同位体比を測定する事で産地判別を行う研究など、さまざまな機関で研究が行われています。 そして、行政機関による産地判別への取り組みが実施されています。 このような取り組みは、欧州では、ワイン、チーズなど日本とは分野が異なりますが、様々な食品分野において取り組まれています。安定同位体比分析による産地判別は、非常に有効な検査技術として位置付けられています。

(欧州での取り組みなどの資料については、同位体研究所にお問い合わせください)